テナントを借りる契約の流れ
テナントを借りる際には「知っていなければならないこと」、「知っていると得をすること」がたくさんあります。ここではそのような情報のポイントを紹介しています。
テナント探しのための基礎知識
1.予算と希望を整理する
テナント探しには、自分や家族にとって何が大切かを決めておくことが重要です。
すべての希望を満足させる物件を見つけることはなかなか難しいですから、どのような条件を優先するのかを決めておかないといつまでたっても物件を決められなくなってしまいます。
(1)まず、いくらまでの賃料なら無理なく支払えるかということが重要になります。
家賃は固定費になります。店舗であれば仕入れ、経費、人件費を売上から差し引き、いくら残るか。
無理なく払える金額が良いでしょう!
(2)自己資金で開業をするのか、公庫融資などを利用されるのか、資金面を確認しましょう!
物件の契約金以外にオフィスならデスクや椅子、コピー機などが必要になり、店舗では飲食店では厨房機器が必要になります。
また、融資を利用の際は、融資相談から面談、結果が出るまでに約1ヶ月前後時間がかかります。
事前に確認をしておいたほうが良いです。
2.用途地域と用途を調べる
いざ物件を探してみて、物件はたくさんありそうで、たくさんはないです。
その理由として用途地域と用途が関係をしてきます。
倉庫や工場などでも用途地域を良く見て探さないと、借りた後に実は利用できない用途地域だったことがわかると業務に支障が出てしまい、最悪は物件を借りても事業ができず、解約せざるおえなくなってしまうこともあります。
また、用途を確認しないと違った用途の物件で自分のやりたい用途が適していないと、
後々用途変更をしなくてはいけなくなります。
用途変更は建築士さんに相談しながら、色々な書類を揃え、また高い費用がかかります。
物件選びは慎重に行い、テナントに強い不動産会社に相談をしましょう。
具体的なテナント情報の集め方
1.インターネットによる情報収集
インターネットによるテナント情報収集は広範囲の情報を素早く収集できますし、賃料相場を把握するのにも非常に便利です。
ですが、その反面、申し込みが入ってしまうことも多く、すでに成約してしまったテナント情報が掲載されていることも多々あります。
信頼できる不動産会社さん、または営業マンに気になるテナントがあれば空き情報を確認して頂いた方が良いです。
2.現地の看板を見る
1階路面店の貸店舗では、すぐに決まるということもあり、インターネットに掲載する前に、
現地に空き看板を付ける事もあります。
出店したいエリアが決まっていましたら、1度はそのエリアに足を運ぶことをお勧めします。
申し込み
1.申し込みは「契約」ではない
物件を下見して気に入った場合、不動産会社に「申込書」を提出することになります。
この申込書の書式は、不動産会社によってまちまちですが、記入項目は住所・氏名・年齢・職業・年収などになっています。
申込書は、あくまで契約する意思を確認するための書類であって、賃貸借契約書ではありません。
したがって、申込書を提出した後でも、申込みをキャンセルすることが可能です。提出する前に、この点を不動産会社に再確認しておくとよいでしょう。
ただし、軽はずみなキャンセルは不動産会社に迷惑をかけることになるので、申し込みはくれぐれも慎重にしてください。
また、賃料無料期間(フリーレント)を貸主様に承諾頂く為の交渉は申込時に行います。
2.審査で落ちることもある
貸主は借主が提出した「申込書」をもとに、その希望者に契約させるかどうかを判断します。
これを「審査」といいます。審査にかかる時間は大体一週間ぐらいです。
この審査で貸主がOKしないケースもあります。
貸主から見れば、自分の財産である不動産を他人に貸すわけですから、経済的に安定している人や、契約上のルールを守る人にテナントを貸したいと考えるのは、当然のことといえるでしょう。
3.預かり金・手付金を支払うとき
テナントを下見して気に入った場合、申込書を提出する際に、数千円から家賃の1ヵ月分ぐらいの金銭を不動産会社に預けるケースがあります。
この金銭は「預り金」「申込証拠金」「申込金」「手付金」などと呼ばれています。
金銭を預けた場合でも「借りたい」という意思表示を行ったに過ぎず、契約の優先権を確保したわけではないことに注意しましょう。
つまり預り金を不動産会社に預けても、貸主の承諾がなければ契約は成立していないとみなされます。
契約が不成立の場合は、預り金は返還されるものですが、念のためそのことを明記した預り証を受け取りましょう。
契約が成立した場合は、一般的には必要な費用の一部として取り扱われます。
融資を受ける際は時間がかかってしまうため、貸主から直接預かり金を請求されることもございます。
賃貸契約を結ぶとき
1.契約までに用意する書類一覧
(1)契約までに用意する書類一覧
賃貸借契約までに個人・法人で用意する書類は次のとおりです。
(A)は個人契約、(B)は法人契約です。
(A)契約者の住民票・身分証明・連帯保証人の印鑑証明書・印鑑・実印
(B)法人の謄本・印鑑証明・決算書の写し・連帯保証人の印鑑証明書・実印・印鑑
(2)契約までに用意するお金一覧
首都圏の場合、賃貸借契約までに用意するお金と、その目安になる金額は次のとおりです。
●礼金…家賃の0~2ヵ月分
●敷金、保証金…家賃の2~10ヵ月分
●仲介手数料…家賃の0~1.08ヵ月分(消費税含む)
●前家賃…家賃と管理費の1ヵ月分程度
●その他…損害保険料へ加入費用、保証会社への加入費用 など
(3)個人契約の住民票を用意する
賃貸借契約の際には、契約者の住民票を提出するのが一般的です。
したがって、賃貸借契約の日取りが決まったら、できるだけ早く契約者の住民票を用意しましょう。
住民票は、市区町村役所またはその出張所で交付してもらいます。
(4)連帯保証人の保証書を用意する
連帯保証人の保証書とは、万一の際には連帯保証人が契約者の債務(家賃の滞納分など)を肩代わりするという内容の書類です。
これは、不動産会社によって書式も名称もまちまちです。
「保証書」「保証契約書」「連帯保証契約書」「保証人引受承諾書」などいろいろな名称があります。
いずれにしても、連帯保証人が契約者の債務を保証するという内容の契約書です。
保証書には通常の場合、連帯保証人の実印を押印することになっています。
賃貸借契約を結ぶ前に、早めに連帯保証人にこの保証書を書いてもらいましょう。
2.重要事項説明書と賃貸借契約のチェック項目
1)重要事項説明書をチェックする
重要事項説明書とは、物件概要や契約内容を詳しく記載した書類です。
不動産会社は、賃貸借契約を結ぶ前に、この重要事項説明書を契約者に交付する義務があります。
重要事項説明書は、契約書と重複する内容も含んでいますが、非常に重要な書類です。
不動産会社は、重要事項説明書を契約者に交付する際に、その内容を契約者に説明する義務があります。
このとき内容を説明するのは、一定の資格を持った人(宅地建物取引士)が取引士証を明示して行わなければなりません。
重要事項説明書の内容を聞いているときに、疑問が出てきたら、その場で質問してください。
そして、最終的に納得してから、契約手続きに入ってください。
また、定期借家契約(更新のない賃貸借契約)の場合、ここで必ず説明があります。
定期借家契約は、期間が満了になると契約終了ということになりますが、互いに合意すれば再契約できますので、十分に説明を聞いてください。
2)契約書は納得してから署名する
賃貸借契約書には、すぐに署名・押印するのではなく、不動産会社に分からないところを質問して、納得してから署名・押印するようにしてください。
賃貸借契約書を結んだ時点で、契約のキャンセルは原則的にできなくなるからです。
例えば、契約を結んだが、後日気が変わり、契約開始(賃料発生日)前に契約をキャンセルしようとしたとします。
契約開始(賃料発生日)前であっても契約は始まっているわけですから、通常の場合、礼金・仲介手数料は契約者には戻ってきません。
契約者には、基本的に敷金が戻ってくるだけです。
(保証金は償却がございますので、償却がある際はその分が引かれて戻ってきます)